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2012.3.26
歴史的建造物「旧和良村森林組合事務所」の保全
解体予定だった、旧森林組合事務所を保全しています。
無くなってしますのがとても残念で、歴史的建造物の保全と地域活性化を目的として譲っていただきました。

教育委員会社会教育課文化係
齊藤知恵子さんの所見は下記のとおりです。


この建物は郡上市の南東部に位置する和良地域にあり、和良庁舎のおよそ100m西側に位置し、国道256号線に北面して建っている。西側の町家とは間隔がなく本建物の屋根が町家の屋根に被っており、東側の町家との間には通路分の間隔が設けられている。
和良森林組合は昭和17年2月13日に発足し、開設当初は農協を間借りしていた。同26年、役場東隣に事務所を新築し、昭和37年役場改築に伴い現在地へ移築した。西の隣家は昭和25年建築、東の隣家は同26年建築で、両者の間に移築された。以前は南面して建っていた本建物は、昭和26年建築、昭和37移築されたものである。その後、郡上市合併により郡上森林組合和良出張所として使用され、平成22年に同出張所が郡上市和良振興事務所内へ移転されるまで使用されていた。現在はNPO法人つくしん棒が借地契約と建物譲渡契約を結び、建物を所有している。今後の活用に向けて検討しながら不定期に使用している。
本建物は、木造2階建、正面は寄棟の妻面を切り落した半切妻(Jerkinhead)で、背面は切妻造、緑色の釉薬瓦葺、小屋組はキングポストトラス構造である。正側面の外壁は横板貼り薄緑色の塗装を施した洋風建築で、背面は和風建築となっている。
1階表側の事務室は正面から東側へL字のコンクリート土間が廻り、2方向に高さ955mmの木製カウンターを設け、板貼の床としている。事務室奥には一段上がってフローリングの室が続く。ここは以前和室であったが、平成10年頃、外便所から下水に繋ぎ、水廻りを改修する際に、畳敷きからフローリングに改修したという。屋根がトタン葺で延長されている1間分はこの時に面積を拡大したものと思われる。
1階アルミ製の建具が入っている土間境と東面には敷居と鴨居が残っているため、元は木製建具と思われる。また、移築前の古写真から正面向かって左側は1、2階とも開口部が設けられているため、既存の開口部を有効に使用できるよう、現在のように西側は隣家と接し、東側は採光の為の空間を開けているものと考えられる。
 2階は8畳と6畳の畳敷きの2室が続き、その三方を入側のように畳敷きの廊下と板敷きの廊下が廻らされている。表側の8畳には板床が設けられ、長押が廻り、客間のような造りになっている。2室とも棹縁天井で、欄間にはガラスがはめられ、室内は漆喰仕上げとなっている。畳廊下に設けられた木製のガラス窓は、外観は洋風建築にあわせた白色塗装、内部は和風のガラス戸に見えるようにしている。
 以上のように、外観と小屋組、1階主要室には洋風要素を取り入れた洋風建築だが、2階は和風としたこの建物は、和良の近代化を示す建物の一つであると考えられる。また、近年NPOが取得し、今後の活用を期待できる建造物である。

郡上市教育委員会社会教育課文化係 主任 齊藤知恵子
昭和17年移築前の様子

【Photo Gallery】

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